tales of a fourth grade nothing
フツーの”兄”の”ぶっ飛んだ弟”が引き起こす騒動のお話
Peterは小学4年生のごく普通の男の子。一方、彼の弟Fudgeはいつもとんでもない騒動を引き起こすトラブル・メーカー。Peterの家族、友達のみならず、Fudgeに関わる人たちはみんな、さまざまな騒動に巻き込まれてしまう。最後にはPeterが大切にしているペットの亀にまでFudgeの”魔の手”が・・・。
レベル
入門 < 初 級 < 初ー中級 < 中級 < 中ー上級 < 上級
読むヒント
約120ページ、全10章。真面目なお兄ちゃんのやんちゃな弟が引き起こす様々な騒動をユーモラスに描いた作品。英語は素直で、1章が10ページほどで読みやすい。中-上級レベルの人にはおすすめ。中級くらいの方でも、この作品と”ノリ”が合えば結構スムーズに読み進められるかもしれません。
”Fudge”というのは本来は甘いチョコレート菓子のようなものです。”Fudge”と呼ばれるのは、日本語でいえば”チョコレートちゃん”と呼ばれる感じだと、とらえておくとよいと思います。
1章
Peterが友達Jimmy Fargoの誕生日会のゲームで優勝して亀を賞品として手に入れるところから話が始まります。
Peterは亀に何と名前をつけたか? Peterはどんなところに住んでいる? Henryって誰? 亀を見てPeterのお母さんはどんなリアクションをした? Peterの'biggest problem'とは?
この章でPeterの家族の様子や暮らしぶり、ストーリーの方向性が分かります。少し丁寧に読んでいきましょう。
2章
Peterのお父さんの仕事の関係者のYarby夫妻がPeterの家に泊まりに来ることになります。今回のFudgeの餌食はこの人たちのようです。
彼らが泊まりに来ることになったのはどうして? お母さんの反応は? どんなトラブルが起こったのでしょう?
Fudgeのトラブルの最初のエピソードですが、いきなりお父さんの仕事にまで影響を与えることに・・・。Fudgeが引き起こす騒動が、生半可なものでないことを予期させるお話。
3章
Fudgeがだだをこねて、食べ物を口にしなくなります。Peterは「お腹がへれば、食べるだろうから放っておけばいい」と言いますが、お母さんは心配で仕方ありません。Fudgeに食事をとらせるために、あの手この手で奮闘します。
お母さんはPeterに助けを頼みますが、それはどういうことだったでしょう? お父さんは何をしましたか? Fudgeがしばらくの間、食べるようになりましたが、それはどんな風に? 最後はお父さんの行動で一件落着となりますが、お父さんがしたコトとは?
この章のエピソードは、子育て経験のある人には共感の持てるものだと思います。タイトルはThe family dog となっていますが、私なら Eat it or Wear it にしたんじゃないかなあ。
4章
ある日PeterとJimmy Fargoは公園にある岩に遊びに行きます。彼らはそこで遊ぶのが大好きなのですが、すでにPeter達のクラスメートのSheilaがその場所を取っていて、譲ろうとしません。3人が言い争っているところに、お母さんに追いかけられながらFudgeが登場。3人はお母さんが用事をたす間、Fudgeのお守りをすることになりますが、やはり事件がおこってしまいます。
今回登場したSheilaはどんな女の子でしょう?(ちなみに私は、ちびまる子ちゃんに出てくる前田さんぽいかなと思いました) PeterはSheilaをどう思っているでしょうか? 今回はどんな事件がおこりましたか?
この章ではTOEICや英検などではお目にかかることはないだろう言葉がでてきます。例えば 'know-it-all' 'cooties'など。日本語でも”えんがちょ”なんて言うのは学校では習わないけど、みんな知ってますね。こんな時は、はっきり単語の意味が分からなくても、何となく”感じ”がつかめればOKです!
5章
Fudgeの3歳の誕生日会でのエピソード。Fudgeといつも遊んでいる友達を招待しますが、Fudgeの友達だけあってそれぞれ個性的。おデブでいつも何か食べているRalph、人に噛みつく癖があるJennie、泣き虫のSamの3人。お母さんはPeterと祖母の協力を得て誕生日パーティーを開きますが・・・。
このあたりまで読み進めれば、この本のノリにも慣れて、細かい部分が分からなくても、どんな感じのことが起こるのか、起こっているのか何となくつかめるようになっていると思います。このパーティーも「無事、何事もなく・・・」なんてことはあり得ませんよね。
6章
ある土曜日、Peterはお母さんとFudgeの3人で町にでかけます。歯医者に行ってFudgeの歯を見てもらい、靴屋に行ってPeterとFudgeの靴を買い、ランチをしようというのです。Peterは渋々ついて行くことに。案の定、Fudgeは行く先々でトラブル・メーカーぶりを発揮します。その度にPeterは振り回される羽目に。
歯医者で口を開けようとしないFudgeのために、お母さんがPeterにお願いしたことは? 靴屋さんではPeterは何をさせられましたか? レストランでは何が起こったでしょう?
7章
Peterのクラスでグループでやる宿題が出ます。Peter、Jimmy、そしてあのSheilaの3人でグループになることに。今回はこの三人がもめながら宿題をやっていく様子がメイン。Fudgeの出番はやや少なめですが、それでもちゃんと(?)トラブルをおこしています。
どうしてこの3人がグループを組むことになったのでしょう? どんな宿題でしたか? 3人はどのように宿題をすすめましたか? Fudgeはどんなトラブルをおこしましたか?
8章
Peterのお母さんの妹に赤ちゃんが生まれて、そのお手伝いをしにお母さんは、しばらく家を空けることになり、その間お父さんがPeterとFudgeの面倒を見ることになります。お父さんはPeterとFudgeを自分の仕事場に連れて行きます。お父さんは広告関係の仕事をしていますが、そこでは、あるコマーシャルに出演する子役のオーディションの最中でした。なんとそのクライアントがFudgeに白羽の矢を立てるのです。果たしてCMはちゃんと撮影できたのでしょうか?やはりPeterは巻き込まれてしまうのか?
9章
Peterのお母さんは、まだ帰って来ていないので、引き続きお父さんがPeterとFudgeの面倒を見なければなりません。この章のエピソードは2つ。前半のPeterとFudgeとお父さんの3人で映画を見に行くお話。後半のお父さんが張り切って夕食を作るお話です。映画館ではFudgeが行方不明になってしまいます。夕食の話ではFudgeというよりも、普段、あまり料理しないお父さんが食事を作ると・・・みたいな、あるある的なお話です。
10章
いよいよ最後の章。ある日、Peterが大切にしているペットの亀がいなくなってしまいます!Peterは必死で探しますが、どこにもいません。そして疑惑の目は当然Fudgeに向けられます。果たしてFudgeはこの事件に関係しているのか?亀は見つかるのか? そして”衝撃”の結末が!
とおるメモ
この作品はJudy Blume女史1972年の作品です。既に古典としての評価を確立しており、女史自身も大家として認められています。半世紀近く前の作品にも関わらず、内容も英語自体も全く古さを感じさせないのは驚きです。これは彼女の文章スタイルの完成度が高いからでしょう。本当に”素直”という言葉がぴったりな英文です。こんなにもシンプルな言葉で、これだけユーモアに富んだ本を書ける作家さんには、そうはお目にかかれません。
私がここで取り上げるペーパーバックの中では、難しめだと思いますが、私のヒント等も見たりしながら、「こんな感じかなぁ」くらいにリラックスして読んでみて下さい。
この本には続編が出ていて、Fudge series というタイトルで全5冊です。
*Fudgeシリーズ全5作
Tales of a Fourth Grade Nothing
Otherwise Known as Sheila the Great (Fudge series)
今回の作品が気に入ったら、これらの続編も読んでみるといいでしょう。どれを選んでもOKですが、可能ならここで紹介した順(上から下)に読んでみてください。後から出た本に前の本のエピソードが書いてあったりして、時系列的に理解しやすくなると思います。どの本も面白さは私が保証します!
続編4冊も追々ご紹介していきます。